てか、モテの聖地ってどこだよ! 1
「誰か一人の人に愛され大切にされたい」それが女の願いならば、男はそれにプラスして「不特定多数の女にモテたい」本音があるそうだ。私は女なのでそんな概念はないけど、
「コレしたらモテるYO☆☆☆」
と「モテ」を餌に夫を誘導する作戦に出た。
「いや、でももうメンヘラは嫌だし。モテなくてもいいよ」
と嫌がる夫に
「いやいやいや、女の質が変わるんだよ。いい子が寄ってくるよ☆☆☆」
「‼」
「それにはファッションだYO☆☆☆」
この☆マークは作為的な感情を表す。テンション上げて巻き込む作戦だ。
「貴方は色に色を重ねるとか、柄に柄を重ねる、とか、チョット他の人ができないような服装が似合うのよ。色や柄でごちゃごちゃしているのにまとまるように見える、特殊なジャンルの人なの。しかも首が長いの。首が長いとストールが巻けるから・・・そう、パリジャンみたいになれるのよ」
私はスマホで検索したパリジャンの粋な着こなしを見せて言った。夫は
「えー!俺が、これ似合うの!?超うれしい!着たい」
食いついた!餌に食いついた!
「でもね、残念なことに、こういう恰好ってデブには似合わないのよ。なんていうか、オーラで着こなすっていうか、気迫で柄より存在感を出して着こなすっていうか。それが、デブだと鬼気迫った迫力が出ないの。脂肪が厚くて迫力が外に出ないの」
「わ、わかる。ジムに行って走るとなんか悪いものが出て、放射エネルギー凄い出るもんね!体からなんかオーラ発散されるのわかるもんね!」
「でしょう?貴方はそれだけ本当はオーラ出まくりの人なのよ。もったいないわねぇ。知ってる?オーラのある人ってモテるのよ。オーラに引き寄せられるのよ」
「そうか!俺オーラあるのか!そんな人になれるのか!?」
「貴方がならなくて誰がなるの?しかも、パリジャンでしょう?女が放っておかないわよ」
「で、でも、メンヘラが寄ってくるんだろう?」
「オーラがあるパリジャンにはメンヘラは警戒して寄ってこないわ!ハードルの高い男にはもっと自分に自信のあるいい女が寄ってくるのよ」
「おおおおお!マジか!拠り所がかわるんだな!痩せる!俺は痩せる!ぜーったい痩せる!」
「でもね、残念なことに、貴方、おっさんなの」
「え、もう似合わないのか?」
「大丈夫、服を選べば問題ないわ。おっさんの必須アイテムはタートルネックと、ストールよ。ストールさえ巻いとけばそれ風に見えるから。貴方首が長いから首にぐるぐる巻いとけばそれでいいから。首が長いと洋服が似合うのよ。貴方脚が短いでしょう?」
「短いな」
「でもどうでもいいのよ、そんなこと。脚なんでどうでもいいの。靴履けばわからないから」
「何が、残念なんだ?」
「イケてるおっさんでも、収入がないと皆見向きもしないのよ。それがおっさんのモテのキーポイントなのよ」
「痛いとこついてくるね」
「私はどうでもいいの。そんなこと。収入なんて。私の結婚相手に望む条件は、生体エネルギーの理解者であること。これが滅茶苦茶ハードル高いから、ほとんど該当者がいないの。だから、あとは家事が苦手でも受け入れてくれる。それのみよ!!」
「低い!君の理想低すぎるだろ!君は優しいよね!」
「そう、私は優しいのよ。でも世間は違うから。人格ってね、個人の性格、思想だけでなく、収入、資産、職業を含めて人格っていうのよ」
「知っているよ。環境が人を作るからね。環境もその人そのものだ」
「人格の内、収入が欠けていると、女は寄り付かないの。収入と書いて包容力と読むのよ」
「君は凄いこと言うね。何者?」
「リアリストよ。モテたいならとことんやるのよ!」
「わかった!し、しかし、なんで俺なんかにオーラがあるの?」
「なんか、生まれながらにピカピカしているジャンルの人がいるのよ。勝手にピカピカして、太ったり劣化したりするとくすむの。くすむともっさりするの。なんか、残念な感じになるの。極端なのかしらね」
「なにそれ?体質?」
「体質というか・・・。ジャンル。分類。種別。私もそうだから分かるの。極彩色の奇抜な服がしっくりくるのよ。そんな服着て世間を歩けないから着ないけど。今はもう太って似合わないだろうけどね」
「君が変な奇抜な服が似合うというのは君の家族から聞いたことがある。まさか、俺にもそんなのがあるとは・・・・‼俺頑張るよ!モテるよ!俺自分の可能性を広げたいよ!」
撒き餌。
がんばれ!夫!